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【運行管理者と配車係の違い】仕事内容や必要な資格で比較

更新日:2023年9月25日

物流業界において、縁の下の力持ちともいえる「運行管理者」や「配車係」。
彼らは、運転手の管理や配車計画の実施など、物流業界において重要なポジションを担っています。
一見同じような仕事に見える2つの職業ですが、それぞれどのような役割を果たしているのでしょうか。。

この記事では、運行管理者と配車係の違いを、仕事内容や必要な資格などを通して比較しました。
また、それぞれの向いている人についてもご紹介しているので、「将来このような職種に携わりたい」「配車係への転職を検討している」などと考えている方は参考にしてみてください。

運行管理者とは

運行管理者とは、バスやタクシーなどの交通機関の運行を管理する人のことです。
ここでは、運行管理者の仕事内容や給与事情、やりがいについて説明します。

運行管理者の仕事内容

運行管理者の主な仕事内容としては、運転手の勤務表やシフトを作成したり、車両の点検や整備を行ったり、天候や工事区間を意識した配送ルートの作成をしたりすることがあげられます。

ほかにも、運転手が安全で快適なサービスを提供できるように、休憩時間などの労務管理や重量の確認、運転講習を通した安全指導など多岐に渡って運転手の管理を行います。

給与事情

運行管理者の給与は、企業や業界によって異なりますが、一般的には月給35万円前後といわれています。
運転手は25万円前後、配車係は26万円前後といわれているため、これらの仕事より高年収を望める可能性があります。

また、会社によっては運行管理者の資格所持で手当が加算される場合もあります。この場合
月額約5千円~1万円が多いようです。手当の有無などは事前に確認をしておくようにしましょう。

配車係とは

配車係とは、お客さんの依頼に合わせて運転手に仕事を振り分ける仕事です。
ここでは、配車係の仕事内容や給与事情、やりがいについて説明します。

配車係の仕事内容

配車係の主な仕事内容は、運転手の適性や荷物情報を考慮した配車計画の作成、リアルタイムでの運転手への指示出し、トラブルサポートなどです。
また、必要に応じて同業者への協力依頼や荷主企業と運転手の調整なども行います。

給与事情

配車係の給与は、勤務先や経験年数などによって異なりますが、一般的には月給20万円~30万円程度が多いようです。年収の平均も300万~500万程度といわれています。

会社によって条件や賞与の有無、手当などは異なるため、配車係を目指す場合は事前に詳細を確認するとよいでしょう。

運行管理者と配車係の違い

似た仕事に見える運行管理者と配車係ですが、どのような違いがあるのでしょうか。
ここでは、必要な資格やスキル、将来性の視点からそれぞれの違いについて説明します。

必要な資格

運行管理者と配車係では、必要な資格が大きく異なります。

運行管理者になるためには、「運行管理者資格者証」が必要です。運行管理試験の受験資格は、運行管理業の一年以上の実務経験又は、指定された基礎講習の修了のどちらかを満たしている必要があります。
また、実務経験が五年以上あり国が定めた講習の受講を満たしている方は、試験を経ずに資格を獲得することができます。

一方、配車係は資格が必要ありません。指定の資格等は不要ですが、土地勘や運転手への理解などが必要となります。
そのため、実務経験のある元運転手が採用されるケースも多いようです。

スキル

運行管理者の主な業務は、運転手の安全運行を目的とした管理です。
運転手の管理や指示監督を務めるため、指導力やコミュニケーション力などのスキルが求められます。

一方で配車係の主な業務は、配車計画を行い運転手に配送業務を割り振ることです。
トラブルが生じた際に必要な指示を出したり、労働時間管理なども行ったりするため、判断力や現場を熟知していることなどが求められます。

将来性

運行管理者と配車係は、どちらも将来性のある仕事といえます。

運行管理者は、国家資格が必要な上に運送業において「1つの企業で1人は雇わないといけない」という決まりがあります。そのため、転職の際も求人を探しやすい職種の一つなのです。
一方、資格等が必要ない配車係も将来性がある仕事といえます。要因としては、物流業界の担い手不足があげられます。配車係の職においても、属人化や後継者などの問題が顕著に出ているのです。

物流業界は、EC発展に伴う小口配送の増加によって、今後も需要が見込まれています。配送を行うにあたり、必要な存在である運行管理者や配車係は将来性を期待できる仕事なのです。

運行管理者として働くメリット・デメリット

ここでは、運行管理者として働くメリット・デメリットについて説明します。

メリット

運行管理者として働くメリットは、下記のとおりです。

・デスクワークメインの業務による体力的な負担軽減
・将来的にも一定の需要が見込まれる
・資格所有によって転職において有利になる

運行管理者は管理業務のため、基本的にデスクワークでの仕事となります。長時間の運転が必須の運転手と比較して、体力的な負担が少ないといわれています。
また、トラックなどを保持している会社では、運行管理者の配置が不可欠です。転職の際も有利であり、将来的な需要も期待できることは大きなメリットといえます。

デメリット

運行管理者として働くデメリットは、下記のとおりです。

・運転手に合わせた不規則な勤務時間
・トラブル発生時に問われる責任
・業務範囲が広いことによる精神的負担

運行管理者は、運転手のスケジュールに合わせて勤務しなければならない場合があります。また、安全な運行管理を担当しているため、事故やトラブルなどが発生した際には責任を問われることがあります。
任される業務の幅も広く、精神的負担も否定できない仕事です。

配車係として働くメリット・デメリット

ここでは、配車係として働くメリット・デメリットについて説明します。

メリット

配車係として働くメリットは、下記のとおりです。

・会社の窓口としてお客さんと関われる
・在宅勤務が可能な場合もある
・昇進や独立が期待できる

配車係は、会社の窓口としてお客さんと関わる場合もあるため、時には感謝を伝えられることも。そのほかにも、運転手の司令塔としての役割を担うので、昇進や独立のチャンスも期待できる仕事といえます。

勤務形態は会社によって異なりますが、在宅勤務を行っている会社も存在し肉体的な負担が少ないといわれています。

デメリット

配車係として働くデメリットは、下記のとおりです。

・運転手とのやり取りが大変
・トラブル処理による精神的疲労
・交通状況や天候に左右されるため、残業が多い

請け負った配送業務を運転手に配分する配車係は、運転手と密に関わる仕事です。信頼関係を構築する必要がありますが、時には揉め事や理不尽なクレームなどのトラブルに発展するケースも考えられます。
調整役として各方面から文句をいわれたり、経営者と運転手との間で板挟みになったりと精神的疲労も大きい仕事といわれています。

また、交通状況や天候などによって残業になることもあるでしょう。配車係は、忍耐強さや調整力が必要な仕事なのです。

運行管理者に向いている人

運行管理者にはどのような人が向いているのでしょうか。
下記に該当する人は、運行管理者に向いているといえます。

・気配りができる人
・コミュニケーション能力がある人
・柔軟性がある人

運行管理者は、運転手をまとめる指揮官のような仕事。円滑に仕事を行うためには、日々の業務の中で声を掛けたり相談に乗ったりと、コミュニケーションを心がけることが大切です。

また、運行管理者の業務を行う上で、運転手との揉め事などのトラブルに巻き込まれる場合もあります。場合によっては、一方的に文句をいわれることもあるでしょう。
そのような事態に陥った時に、すぐにかっとならず冷静でいられる力は大切です。

配車係に向いている人

配車係にはどのような人が向いているのでしょうか。
下記に該当する人は配車係に向いているといえます。

・様々な要素を考慮できる人
・臨機応変に対応できる人
・現場経験がある人

配車係は、効率的かつ安全に荷物を届けるために運転手のスケジュールや道路状況など、様々な要素を考慮しなければなりません。
配車計画をしていく中で、急な仕事依頼やトラブルが起こることもあるでしょう。その際に、焦らず臨機応変に対応できる力は役立ちます。

また、配車係をする上で運転手の能力や性格を把握したり、現場と連絡を取り合ったりするため、現場への理解は大切です。現場経験を積んでいると、業務への理解や交通状況の把握が可能となり円滑な業務につながります。
実際に、運転手から配車係に雇用されるケースもあるそうです。現場の経験があることで、スムーズにコミュニケーションが取れるでしょう。

まとめ

今回は、運行管理者と配車係の違いについて説明しました。
どちらの業務も物流業界を支える大事な仕事ですが、仕事内容や必要な資格、給与などに違いがあります。
2つの違いは、運行管理者は運転手の安全管理をする仕事で資格が必要、配車係は運転手に業務を振り分ける仕事で資格が不要、と覚えておくと良いです。

このような仕事に携わりたいがどちらの仕事に就くか迷っている方は、将来的な自身のキャリアプランや取得できるスキル、給与面などを考慮して選択すると良いでしょう。
運行管理者や配車係の仕事は、物流の効率化や安全性に貢献するやりがいのある仕事です。自分の適性やそれぞれの違いを理解し、後悔のない仕事選びをしてみてください。