この記事では、物流業界の業務内容や働くメリット、デメリットなど詳しく解説していきます。物流業界に興味をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。
●物流業界の業務内容
まずは、物流業界の業務内容を「保管」「荷役」「流通加工」「梱包」「運輸・配送」「情報管理」の6つに分け、それぞれお伝えしていきます。
保管
「保管」とは、預かった荷物を倉庫や物流センターで管理する業務です。配送するまでただ置いておくだけではなく、品質を保てるように正しい環境で管理したり、スムーズに出荷できるよう整理したりする必要があります。
また、在庫切れにならないよう発注をかけることも保管の業務に含まれます。
荷役
「荷役(にやく)」とは、物品輸送の積み込みや積み下ろし、倉庫内での入出庫、仕分けなどの作業全般を指します。幅広い業務があり、物流の中でも大きなウェイトを占めています。
また、品質や生産性に影響を与えることから、非常に重要な役割を果たしている業務といえるでしょう。
流通加工
「流通加工」とは、荷主のニーズに合わせて商品に付加価値を与える業務です。具体的には、ラベルや値札を貼ったり、商品のセットを組んだりといったことが挙げられます。
高品質な商品をお客様の元に届けるために欠かせない、重要な役割を果たしています。
梱包・包装
「梱包・包装」とは、傷がついたり破損したりしないように商品を保護する業務です。物品の品質を守ることはもちろん、段ボールなどで持ち運びやすくするという役割もあります。
輸送・配送
「輸送・配送」とは、トラックや船で直接物品を運ぶ業務です。物流といったら、この業務をイメージする方も多いかもしれません。
輸送は一次輸送とも呼ばれ、物流センターなどの拠点まで大量の物品を運ぶ工程を指します。一方、配送は二次輸送とも呼ばれ、最終目的地まで小口の物品を運ぶ工程を指します。
情報管理
「情報管理」とは、コンピューターを用いた情報システムで物流を管理する業務です。在庫状況はどうか、郵送中の物品はどこにあるのかといった情報を記録します。また、集めたデータを分析することで、業務の改善に取り組めます。
IT化が進む現代社会において、重要性が高まっている業務といえるでしょう。
●物流業界の主な職種
ひとくちに物流業界といっても、働き方はさまざまです。物流業界の主な職種を3つご紹介します。
営業
物流業界の営業とは、法人顧客に対し物流サービスを提案する職種です。
多くのプロセスを必要とする物流に、リソースを割けない企業は少なくありません。そのような顧客に対してヒアリングし、自社サービスならではの強みをアピールして契約を獲得します。
物流管理・オペレーション
物流管理・オペレーションとは、物品の入出荷や保管といった管理業務を行う職種です。適正な管理によって物品の品質が保たれ、コスト削減にもつながります。
工程の多い物流だからこそ、作業を円滑に進めるために欠かせません。物流業界の中で、最も作業量が多いとされている仕事です。
ドライバー
ドライバーとは、直接荷物を運ぶ職種です。基本的にはトラックの運転手を指しますが、他にも船や飛行機、自転車、台車など、さまざまなものを利用して運搬します。担当エリアが決まっている場合が多いです。
●物流業界で働くメリット
次に、物流業界で働くメリットについてお伝えします。
仕事が安定している
物流業界で働く一番のメリットは、将来的にも安定しているということ。物流は、社会において欠かせない存在です。物品の行き来がなくならない限り、仕事がなくなるということはありません。
特に最近では、通販サイトの利用が増えていることもあり、物流の需要は増加しています。求人も多いことから、安定しているうえに自分に合った仕事を見つけやすい業界だといえるでしょう。
未経験からでも仕事に就ける
未経験からでも仕事を探しやすいという点も大きなメリットです。学歴・経歴に自信がない方や、資格を取得していない方でも活躍することができます。
物流業界は幅広い業務があるため、その分未経験でもこなせる仕事が豊富。異種業しか経験したことがない場合でも、挑戦しやすい業界といえます。
シフトを自由に組みやすい
他の業界と比べると、シフトを自由に組みやすいというメリットがあります。物流業界は業務が幅広く、時間帯を問わずに働く仕事も多いからです。学業や育児などの都合に合わせ、自由に働きやすいといえるでしょう。
また、アルバイトやパート、派遣社員のような非正規労働者の方々に対する求人が多いのも特徴。自分に合った働き方を探しやすい業界です。
仕事に黙々と打ち込める
物流業界の業務は、一人で黙々と行うものが多いです。ドライバーはもちろん、荷役や流通加工なども当てはまります。
自分のペースで業務を進めたい人や、積極的にコミュニケーションを取りたくない人にとっては、仕事に打ち込みやすい環境といえるでしょう。
●物流業界で働くデメリット
物流業界で働くデメリットについても、お伝えしていきます。
計画通りに業務を進められないことがある
物流業界ならではのデメリットとしては、計画通りに業務を進められない場合があるという点です。さまざまな工程がひとつながりになっている物流だからこそ、どこかで業務が滞ると全体に影響を及ぼしてしまいます。
仕事が合わないケースに注意
当たり前ではありますが、仕事が合わないケースではつらく感じてしまうことに注意しましょう。
物流業界で仕事を探したいと思っても、業務は多種多様です。重い荷物を運ぶ体力や求められることもあれば、臨機応変に対応できる柔軟性が必要となることも。
仕事を探す前の段階で、自分の適性をしっかり考える必要があります。
ノルマや時間に厳しい企業も存在する
スピード感が重視される業界のため、ノルマや時間に厳しい企業も存在します。緊張感を持って働くことが重要ですが、プレッシャーを感じやすい人にとっては逆効果になってしまうかもしれません。
●物流業界で働くやりがい
次に、物流業界で働くやりがいについてお伝えします。
人々の当たり前を支えられる
物流業界のやりがいは、多くの人々の生活を支えるという非常に重要な役割を担える点です。
物流という仕組みが機能しないと、いつものスーパーで買い物できなくなったり、頼んだ荷物が届かなかったりしてしまいます。縁の下の力持ちとして、人々の当たり前を支えることに大きなやりがいを感じられるでしょう。
共同作業で信頼が生まれる
場合によっては、チームを組んで共同作業を行ったり、別の業務を担当するスタッフと連携を取ったりすることもあります。
みんなで作業する大変さもありますが、協力して業務に取り組み、年齢や性別などの垣根を越えて信頼が生まれることに大きなやりがいを感じられます。
●物流業界で活かせる資格
次に、物流業界で活かせる資格についてご紹介します。物流業界には無資格でも活躍できる業務はありますが、以下のような資格があれば有利になります。
フォークリフト運転技能者
「フォークリフト運転技能者」は、最大荷重1トン以上のフォークリフトを運転するために必要な国家資格です。資格取得の難易度は易しめで、合格率は90%以上といわれています。
重い荷物を運搬する機会の多い物流業界で活躍の場が幅広くなるので、取得しておいて損はありません。
運行管理者(貨物)
「運行管理者(貨物)」は、貨物を運ぶドライバーを管理するための国家資格です。合格率は40%程度で、国家資格の中では比較的易しめです。
シフトの作成や健康状態の確認など、管理職としての業務を担当できるようになります。
危険物取扱者
「危険物取扱者」は、消防法に基づいて危険物を取り扱う際に必要となる国家資格です。甲種・乙種・丙種の3種類に分かれていて、難易度は比較的易しめです。
ガソリンスタンドや化学工場といった特定の施設への配送は、危険物を運ぶことがあります。そのため、危険物取扱者を取得したドライバーなら活躍の場が広がります。
通関士
「通関士」は、物品の輸出入におけるさまざまな業務を行うために必要な、貿易関係唯一の国家資格です。合格率は10~15%程度と難易度が高いものの、専門性の高い仕事を行えるようになります。
通関士を取得しておけば、海外との取引がある物流会社やメーカーなどで活躍できるでしょう。
●物流業界で求められるスキル
次に、物流業界で求められるスキルについてお伝えしていきます。
物流業界全体で必要なスキルとしては、冷静な対応力です。先ほどもお伝えしたように、さまざまな工程がひとつながりになっている物流は、思うように業務が進まないケースがあります。そのようなときでも、落ち着いて対処する姿勢が重要です。
また、物流業界にもさまざまな仕事があるので、担当する業務に特化したスキルがあればより活躍できるでしょう。例えば、営業なら提案力やコミュニケーション能力、ドライバーなら丁寧な運転スキルや集中力です。
●物流業界で求められる経験
物流は未経験からでも挑戦しやすい業界ですが、業務によっては特定の経験が役に立つというケースもあります。
例えば、管理業務の経験のある方なら、管理職として活躍することも可能です。また、海外とのやり取りがある企業であれば、貿易関係の知識や英語力を活かした経験のある方が重宝されます。
もし特別な経験がないとしても、異種業で学んだ知識を活かせる物品を取り扱う場合があれば、役立つことでしょう。どのような経験でも活かしやすい業界だといえます。