●物流業界のキャリアパスについて
まずは、物流業界のキャリアパスについてお伝えしていきます。
物流業界にはさまざまな職種があり、明確なルートがあるわけではありません。一般的には、経験を積んで現場のリーダーとなったのち、管理側の仕事を担うという道があります。
例えばトラックドライバーの場合、現場での数をこなし評価されれば、ドライバーのリーダーに任命されます。さらに、管理業務への適性がある場合、営業所での内勤を担当するようになり、最終的には営業所長や支店長を目指せます。
当然、管理職にならず現場で働き続ける方もいるので、自分に合ったキャリアプランを事前に考える必要があるでしょう。
物流業界で働く女性のキャリアパス
男性に比べると数は少ないものの、女性も物流業界で活躍できます。
物流業界は人手不足や高齢化が深刻化しており、女性の力が必要とされています。だからこそ、多様なキャリアパスを描きやすい状況だといえるでしょう。物流業界で女性が多く活躍している職種は、一般職や総合職であることが多いです。特に、女性をターゲットにした商材を扱う場合、働く女性の割合も増える傾向にあります。
一方で、体力や筋力などの身体的なハンデにより、現場で働く女性の割合は少なめ。女性向けの設備が用意されていない現場もあるようです。
ただ、物流業界でも子育て支援制度や短時間勤務制度などを導入する企業が増えています。人員が不足する中、男性だけではなく女性にも活躍してほしいという考えが広まっているからです。
女性活躍推進に取り組む企業を選べば、自分の望むキャリアを進みやすいです。出産や育児といったライフステージの変化に悩みがちな女性でも、活躍しやすいでしょう。
物流業界の営業職のキャリアパス
物流業界の営業職は、自社の物流サービスを他社に提案し、契約を取る仕事です。営業職として経験を積んでリーダーとなり、最終的に管理職に就くのが一般的なキャリアパスです。
営業職として実績を積み重ねれば、リーダーやマネージャー、部長などの管理職に昇進することが可能です。営業チームや営業所の運営、人材育成などを担当します。また、経営層に近い立場となり、事業戦略や企画立案に携わるケースもあります。
当然、別部門や別職種へ異動することも可能です。営業で身についたコミュニケーション能力やマーケティング能力は、多くの場所で活かせるでしょう。
例えば、ドライバーや作業員などの現場仕事はもちろん、物流コンサルタントのような専門職を目指すことも可能。物流サービスの営業経験を活かして、顧客ニーズや市場動向に応えたサービス開発や改善に携わることもできます。
また、他業界へ転職することもできます。
例えば総合商社の場合、さまざまな流通経路を使って多種多様な物品を取り扱っています。物流業界での営業経験があれば、輸送に関するノウハウを生かせます。物流コストの削減や顧客満足度の向上に貢献できるでしょう。
このように、物流業界の営業職にはさまざまなキャリアパスが考えられます。営業としてのスキルをどのように活かすか、キャリアプランを明確にしておくことが必要となります。
●物流業界の年収
次に、物流業界の年収についてお伝えします。
物流企業の平均年収は、400~450万円程度だといわれています。年功序列の傾向があり、ベテランになればなるほど給与アップが期待できます。
ただ、総合職か現場の専門職か、会社の規模はどれくらいか、といった要素により待遇が大きく変わるので、一概にはいえません。
ドライバーや作業員などの専門職と比べると、総合職の方がより年収は高い傾向にあります。スムーズに昇進し管理職に就きたいなら、総合職からスタートして成果を上げていくルートが適しているでしょう。
一方、企業によってはドライバーに「インセンティブ制度」があります。配達や集荷をした荷物の量に応じ、報酬が支払われるという制度です。そのため、現場仕事だからといって年収が低いというわけではありません。働いた分だけ年収がアップするチャンスもあるのです。
物流業界の職場環境
物流業界は、職場環境の改善に取り組んでいる傾向にあります。深刻な人手不足の中、より魅力的な職場にして求職者を増やしたいからです。
現場で働く人の職場環境
まずは、現場で働く人の具体的な職場環境について、ドライバーと倉庫内の作業者に分けてお伝えしていきます。
配送現場で働くドライバーは、荷物をトラックやバイクで運んだり、お客さまに届けたりなどの作業を行います。運転が好きな人や、黙々と業務に打ち込みたい人にぴったりの環境でしょう。
一方、時間厳守が求められる中、交通事故や渋滞などのトラブルに対応しなければいけません。また、トラック内は快適ですが、外で作業する際は天候や気温の影響を受けてしまいます。
倉庫に勤務する作業者は、荷物の仕分けやピッキング、検品などの作業を行います。24時間稼働していることが多く、シフト制で勤務します。そのため、アルバイトやパート、派遣社員など、幅広い勤務形態があります。資格取得支援がある場合も多く、スキルアップをしやすい環境だといえます。
一方、職場によっては重い荷物を取り扱ったり、倉庫内を急いで移動したり、重労働である面も。腰痛などのトラブルを起こさないよう、注意する必要があります。また、倉庫内は気候の影響を受けやすいので、暑い夏や寒い冬に大変な思いをする場合もあります。
物流業界全体の職場環境
次に、物流業界全体の職場環境についてお伝えします。
多くの企業で、効率化やコスト削減などの取り組みが進められており、職場環境は良くなっているといえます。その理由は、深刻な人材不足や最新テクノロジーの登場などが挙げられます。
物流業界の問題として深刻なのが、人材不足です。「労働時間が長い」「女性が活躍しにくい」といったマイナスイメージがある中、労働者の少子高齢化が進行。さらに、ネット通販の利用が増加したという要因もあり、人手が足りていません。
そのため、より働きやすい職場になるよう環境を整え、求職者を増やそうとする取り組みがされています。具体的には、長時間労働を解消したり、女性活躍のための推進を積極的に行ったりなどです。
また、AI・IoTなどの最新テクノロジーも職場環境の改善に役立っています。物流における業務の一部を自動化し、適切なシステムを構築することで、人的リソースを削減できます。
作業の質が良くなったり、トラブルが減ったりする効果もあるため、従業員はより働きやすさを感じるでしょう。
●物流業界でキャリアップする方法
次に、物流業界でキャリアアップする方法についてお伝えします。
スキルを身につける
キャリアアップの基本的な方法としては、スキルを身につけることです。ドライバーや作業員としてのスキルを着実に磨けば、評価されるようになるでしょう。
また、物流業界全体について学んだりコミュニケーション能力を身につけたりなど、自分の望むキャリアを見据えた努力も重要。与えられた仕事をただこなすのではなく、自分の能力を積極的に高めることまでできれば、キャリアアップにつながります。
資格を取得する
資格の取得も、キャリアアップに役立ちます。現場の作業で活かせる資格があればリーダーを目指せますし、管理側の資格があれば管理職への昇進につながります。
より詳しい内容は後程お伝えしますが、「フォークリフト運転技能者」や「衛生管理者」といった資格があります。自分のキャリアプランに活かせる資格を取得し積極的にアピールすれば、昇進や転職につながるでしょう。
管理職のポストを増やすよう訴えかける
個人の能力を高める以外にも、管理職のポストを増やすよう会社に訴えかけるという方法があります。企業の経営側に訴えかけるのは簡単ではありませんが、新しいキャリアアップの道が生まれるかもしれません。
優秀な人材がいくらいても、それを配置するだけの役職がなければ能力を活かせないでしょう。数人の管理者さえいれば、業務が回ります。
このような状態で、わずかなポストを奪い合うのではなく、仕事のバリエーションを増やしたり、新しいビジネスチャンスを広げたりすることで、役職を増やせます。
●物流業界でのキャリアアップに役立つ資格
次に、物流業界でのキャリアアップに役立つ資格についてご紹介していきます。
フォークリフト運転技能者
フォークリフト運転技能者は、その名の通りフォークリフトを運転するために必要な国家資格です。物品の保管や荷役作業に欠かせません。どのような現場でも活かしやすいといえます。
資格の取得を支援する企業も多いです。倉庫で作業する場合、取得しておいて損はないでしょう。
危険物取扱者
危険物取扱者とは、消防法に基づく危険物を取り扱う際に必要な国家資格です。危険物を管理する施設では、有資格者を置くことが義務付けられています。
危険物を取り扱う物流企業で活躍できます。
運行管理者(貨物)
運行管理者(貨物)とは、ドライバーの管理業務をするために必要な国家資格です。具体的には、運行計画や安全管理、健康状態の確認などが挙げられます。
運送会社では必須とされることが多いため、管理職を目指すなら取得しておいて損はありません。
衛生管理者
衛生管理者とは、事業場の衛生管理のために必要な国家資格です。常時50人以上が働く事業所では必ず設置する必要があるため、需要があります。
50人以上の労働者がいる職場で管理業務を行いたい場合に、おすすめの資格です。